投資詐欺におけるエルゴード性を使った回答の例
未公開株、合同会社債、医療法人債、仮想通貨、NFT、ワンルームマンション投資など妙に利回りのよいーーほとんどが詐欺のーー投資商品のセールスにおいてたびたび投げかけられる質問
• そんなに儲かる話をなんで他人に紹介する?
に対してエルゴード性を使ってもっともらしい回答例を考えたので悪用しないでください。
投資家)そんなに儲かる投資をなんで他人に紹介するのですか?
あなた)疑問をお持ちになられるのももっともです。あいかわらず預金金利がゼロの環境からいえば、今回ご紹介している案件の利回り(ここでは仮に)20%はにわかに信じがたいかもしれません。
本当であれば当社で借金をしてでもこの案件に投資して、失礼ですがお客様には一切紹介しないというのが正しいのかもしれません。私も最初に話を聞いた時にはそう思いました。それで上の者にもしつこく聞いたんですよ。なんで利益を外に出してしまうのかもったいない。私たちで独り占めして山分けした方がいい、と。
ところがですね、ものには限度がありまして儲かる話だからと言ってもっているお金を際限なく投資すればいいかというとそういうわけではないんです。
例えば今ご提案している投資の利回りは年20%で、お客様から今日100万円お預かりしたら1年後に120万円お返ししましょうという仕組みですが、この話をお客様にご紹介するのではなく、銀行なり消費者金融なりでお金を使って際限なく投資したら際限なく儲かるのかというと、残念ながらそうはなりません。
なぜかというと、ちょっと専門用語になってしまうのですが、投資というのが機械力学でいうところのエルゴード性がない、非エルゴード的だというのがその理由です。
非エルゴード的というのはクロスセクションでの平均と時系列の平均が一致しないということなんですが、ちょっとわかりにくいと思うのでコイン投げで説明させてください。
例えば、ここにある100円玉を投げて、表が出るか裏が出るか賭けましょう。表が出たら賭けたお金は2倍、裏が出たら賭けたお金は没収。コインの表裏が出る確率は五分五分というよくある賭けですね。
ここで実はこのコインは特殊な細工がしてあって、表が出る確率が60%、裏が出る確率が40%だとしたら、表に賭けるのが確実に有利ですね。100回投げたら平均で60回表が出るので、100万円あったら、1万円ずつに分けて、100回表に賭ければ100回投げた後には120万円になっているだろう、という単純なギャンブルです。
さて、ここでお金の賭け方を変えて、持っている100万円を最初から全額表に賭けて、100回コインを投げた結果はどうなる?ということを考えてみましょう。
残念ながら、ほぼ確実にゼロ円になります。表が出る確率が60%なので、表に賭け続けるのが有利なのは間違いないのですが、裏が出る確率も40%なので、まあ100回コインを投げたら確実に1度は裏が出るのでそこでゼロになります。
1万円ずつかければ120万円なのに、最初から100万円賭けたらゼロになる、これが非エルゴード的、つまり単純平均と時間平均が一致しないということで、コイントスだけでなく投資全般に当てはまります。これは物理法則なので、解釈の問題とか信じる信じないの問題ではなくて、避けようのない真理です。
じゃあどうすればよいのか、表が出る確率が60%というのは明らかに有利な賭けなので何もしないのはもったいない、かといって一度の裏で一文無しになるのは怖すぎる。ではどうすればいいのか、単純ですが、有り金全部を投資に回さない、というのが確実な答えです。
なので、100万円全部ではなくてその一部だけを投資に回すのがいいのですが、少なすぎてもいけないし多すぎてもいけない。有利な投資があった時にどのくらいを賭ければいいのか、という疑問の答えについてはケリー・シャノンというアメリカの偉い学者の先生が計算方法を考えてくれています。
私は学歴がないので細かい話は端折って、今は答えだけを申し上げますね。60%表の出るコインの場合は、持っているお金の20%、つまり100万円なら20万円を投資するのがベストです。
こうやってコイントスのたびに持っているお金の20%を投資していくと100回のコイントスの後には最初の100万円が700万円以上になります。20%より多くても20%より少なくてもダメです、20%ちょうどで最高の投資結果が得られます。
毎回1万円ずつかけると120万円だったのと比べるとずいぶんと金額が違うとお思いでしょうがこれが複利の効果です。「複利は人類最大の発明だ」とアインシュタインが言っているように、いい投資にお金を入れ続けると結果が全然変わります。人生も変わります。そこで私が今一番いい投資だと考えている本案件をお勧めしている次第です。
ちょっと話がそれましたが、利回り20%のうまい話を私たちだけで独り占めしない理由はコイントスと同じ考え方、投資は非エルゴード的だというのが根拠です。
提案書に記載しています通り、この案件は利回りが年間20%ですが元本保証ではありません。先ほどもご説明したとおり、案件が破綻する可能性は非常に小さいのですがゼロではありません。なので持っているお金を全額投資していると、コイントスに全額賭けているの例のようにどこかでゼロになってしまいます。
それでは一番いい投資額はいくらなのか。社内の数学の専門家に計算させています。
計算の前提として、我々の案件では利回りが年20%と考えています。投資がゼロになる可能性、さっきのコイントスで言えば裏が出る可能性はほとんどないとみているのですが、念のため多めに考えて10回に1回裏が出ると考えましょう。
この時一番いい投資比率は、100万円持っていれば40万円を入れるのが一番だという計算になります。計算方法について詳しいご希望があれば次回社内の専門家をお連れしますのでお申し出ください。
なので100万円のうちの40万円分、弊社の資産のうち40%はすでに本案件に投資済みです。それでもなお投資枠が十分にあるので、なかなか利回りの良い投資案件にアプローチできない一般の投資家の皆様にご紹介して、我々の方で少しながらでも仲介手数料をいただこうというのが弊社の考えです。
というわけで、突き放すような言い方になってしまうのですが、善意で案件を紹介しているわけではありません。仲介手数料が目的ですのでその点についてはご承知おきください。
「そんなに儲かる投資をなんで他人に紹介するのですか?」というご質問ですが、こちらでご納得いけましたでしょうか?
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