お金配りおじさんは経済成長を促進するという根拠

 (疑問)

  • 事業をして得た利益を資産家が「自分一人でため込む」のと「人々に広く分配する」のはどちらが社会全体にとって良いのか?
  • 金持ちが貧乏な人に富を分け与えることに経済的な意義はあるか。
  • お金配りおじさんの是非。


(調査方法)

  • 国民の唯一の経済活動が公正なコイン投げ(表と裏の出る確率はどちらも50%)という国を想定する。
  • 人口は1万人で、スタート時点に一人一人が1万円保有しており、国全体で合計1億円の資産がある。
  • 国民はコイン投げのたびに持っている資産をすべて賭ける。
  • コイン投げは1年間に500回実施する。
  • コイン投げで得た儲けについて各人が「一人でため込む」場合と、「毎回人々に分配する」場合の2通りの分配方法を考える。
  • 表が出た時の配当率が元本の50%、裏が出た時は元本のマイナス50%、つまりコイン投げの期待値が0%の公正な賭けのほか、表が出た時の配当が60%、90%、100%、110%の計5通りの配当率の組合せを考える。
  • 2つの分配方法と5つの配当率、組み合わせて計10通りについてシミュレーションを行い、1年後の資産の状況を調べる。
  • 「一人でため込む」場合と「毎回人々に分配する」場合の1年後の資産を比較してどちらが良い制度か判断する。
  • なお、コイン投げの胴元/親/ハウスに関しては外部の存在、どこかよその国として考える。


(調査結果)

  • スタート時1億円だった国民全体の資産は、10通りのシミュレーションを行った結果、1年後(コイントス500回の後)の資産は下グラフのとおりになった。
  • 一番資産を伸ばしたのはリターンの期待値が最も高い、表の時の配当率が110%で、かつ人々に儲けを分配するパターンだが、桁が大きくなりすぎて他との比較ができない。


  • そこで、シミュレーション結果の資産額を、1コイントス当たりの複利成長率に直した結果が下グラフになる。
  • 表が出た時の配当率が高い、つまりコイントスの期待値が高いほど成長率も高くなるというのは自然な結果。
  • 全てのシミュレーションで、コイントスの都度得た利益を全員に分配する方が成長率が高くなる。
  • コイントスの都度、儲けを負けた人に分配する場合の社会全体での資産成長率はそれぞれの期待値と一致する。
  • 一方で、儲けを分配しない場合の社会全体での資産成長率は期待値を大きく下回っている。
  • なお上のグラフでは見づらいが、表が出た時の分配率が50%と60%(それぞれ期待値0%と5%)のときは、利益をそれぞれの人が独り占めし分配を行わない場合、国全体の資産が1円未満になり、最終的にすべての国民が一文無しになる。



(雑感)

  • このシミュレーションのコイン投げを事業投資に置き換えるなら、投資資金は成果が出る都度全体で再分配する国家の方が成長する。
  • 財産を国民全体で共有する共産主義や、富を貧しいものに分け与える宗教の思想は、慈善のためだけではなく、より高い経済成長の達成という点からも実用的な戦略。
  • しかし現実には共産国家や宗教国家よりも市場経済を採用する国の方が大国になっている。
  • この理由としては下記が考えられるが断定はできない。

    1. 成功した個人に対して分配を促すインセンティブ設計が困難。
    2. 互いに相関のないギャンブルor事業が多数存在しないと成長率が向上しない。
    3. ギャンブルor事業に時系列で相関がある場合も結果が異なる。
    4. 前澤友作は立派な人。


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