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VIXに関して、implied volatility (VVIX)とrealized volatilityの関係

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 (疑問) S&P500のImplied Volatility(IV=VIX)は平時にはRealized Volatility(RV)よりも高いことが知られており、IV-RVはvolatility risk premiumと呼ばれている。 1990年以降の平均でIVはRVを4.1程度上回っている。 VIXのImplied Volatility(=VVIX)も同様にRealized Volatilityより平均的に高いのか。 (調査方法) VIXとVVIXのデータを取得してVIXの動きから1か月(21取引日)のRealized Volatilityを計算しImplied Volatility(VVIX)と比較した。 (調査結果) VVIXのデータが取れる2007年以降のデータを使って、VVIXの推移と21営業日のRV(21営業日後のHistorical Volatility)を比較したところ、実績データのRV、HVが激しく変動するためよくわからない。 そこでIV(VVIX)-RVをチャートにしたところ平均的にIV<RVになる状況が認められた。 2007年以降の平均でRVがIV(VVIX)を20程度上回っていた。 IV-RVの分布は中心(中央値)がややマイナスで尖っており、左裾が長めになっている S&P500のIV(VIX)とは逆に、VIXのIV(VVIX)の期間構造は右下がりになる(原資産であるVIXオプションの期日が先になるほどIVが低くなる)傾向があるが、IVがRVより小さくなることと関連があるのかもしれない。 以上

ボラティリティの変化とオプションの値段

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 疑問 ボラティリティが増加するとオプションの価値は上がるし、減少すると下がる その上がり方、下がり方はどうなっているのか? オプション価格はボラティリティの変化に対して線形か非線形か? 調査方法 ブラックショールズモデルを前提としてIVをいろいろ動かして視覚的に調査 具体的には 株価20、行使価格17(コールはITM、プットはOTM)の場合と、 株価20、行使価格20(ATM) の2パターンについて金利、残存期間をいじってIVとオプション価格の関係をチャートで確認 調査結果(要約) IVとオプション価格の関係は非線形 IVが一定水準以下までは下に凸の形(convex)、一定水準以上になると上に凸(concave)になる convexとconcaveが切り替わるIVの水準(閾値)は金利と残存期間で変わる 金利が高いと閾値は高くなる=>金利が高いとより高いIV水準でconvexからconcaveに代わる 残存期間が短くなると閾値は高くなる=>残存期間が短いほうが低いIV水準でconvexからconcaveに代わる 株価と行使価格の距離が近くなると閾値は小さくなる=>株価と行使価格の差が小さい方が、低いIV水準でconvexからconcaveに代わる 調査結果(具体例) 株価20、行使価格17(コールITM、プットOTM)の場合 残存期間1か月、金利5%の時、IV200くらいまで下に凸(convex)、それ以上は上に凸(concave) 株価20、行使価格20(ATM)の場合 残存期間1か月、金利5%の時、視覚的にはほぼ直線だがIV30くらいまで下に凸(convex)、それ以上は上に凸(concave) 以上

全ての銘柄でIVはHVよりも高いといえる?

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 (疑問) S&P500の場合、ほとんどの期間でImplied Volatility (VIX) はHistorical Volatilityよりも高い。 SPXだけではなく他の指数や個別銘柄ではどうなる? 一般にIVはHVよりも高いといえるか? (調査方法) 実際の指数又は株価から過去21営業日(≒1か月)のHistorical Volatilityを計算する。 各対象資産のオプションデータに基づきVIXと同じ計算方法で30日のImplied Volatilityを計算する。 主な指数、株価、ETFについて両者を比較する。 (調査結果) 2023年3月3日のデータでHVとIVを計算した結果のプロットは下図の通り。 一般にIVがHVよりも高いとは言えない。 SPX (S&P500), IBM, USO (原油ETF), SLV (銀ETF), BITO (ビットコインETF), TQQQ (ナスダック100トリプルブル)など調査対象とした20銘柄のうち15銘柄でIVがHVを上回っていた。 他方、VIX, SQQQ (ナスダック100トリプルベア), AMZN (アマゾン), GOOGL (アルファベット)など5銘柄でIVがHVを下回った。 IV>HVの銘柄群とIV<HVの銘柄群の違いはなんだろうか? 下のグラフはIV>HVの銘柄群と、IV<HVの銘柄群についてオプション満期ごとのIVをサンプル銘柄について表示したもの。 IV>HVの銘柄はオプション価格から計算したIVがなんとなくコンタンゴになる傾向 IV<HVの銘柄は逆でなんとなくバックワーデーションになる傾向。 IVの期間構造がIVとHVの大小の背景にありそうだが理由は不明。 以上

満期までの期間が長くなるほどVIXは高くなる?

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 疑問 S&P500のVIX先物は大体の場合 満期までの期間が長くなると高くなる=いわゆるコンタンゴ になることが知られている。 VIX「先物」ではなくて VIXそのものの場合も期間が長いほど水準が高くなる 場合が多いようだ。 個別株や債券、為替などS&P500以外の資産についても同じことが言えるのか? 調査方法 CBOEのサイトでS&P500といった指数のほかにも、 アップルなど個別株 や BND等のETF など様々なオプションのデータが入手できるので、そのデータをもとに VIXの計算方法と同じ方法を使って 、満期ごとのvolatilityを計算する。 計算の対象はダウ平均構成銘柄や主要ETFなどを適当に選んだ。 データはすべて2023年2月13日の値を使用した。 調査結果(まとめ) S&P500のvolatilityはオプションの満期が長くなるほど高くなるコンタンゴの関係がみられるが、それ以外の資産はバラバラ。 volatilityが一般にコンタンゴになるとは言えない。 Nasdaq100やラッセル2000は満期とvolatility水準にはっきりした傾向はみられない。 同様に、債券ETFはどれも満期に関係なく同じような水準。 ブルベアETFとテクノロジー銘柄は満期が長くなるほどvolatilityが低くなるバックワーデーションの関係。 個別株の場合、決算発表が間近に迫るとvolatilityが高くなるパターンはありそう。 調査結果(個別) 下グラフはS&P500(SPX)、ダウ平均(DJX)、ナスダック100(NDX)、ラッセル2000(RUT)それぞれのvolatilityを計算したもの 期近2月満期のオプションから計算されるvolatilityがすべての調査対象で高くなっていたためグラフ表示から除外した。今後のグラフはすべて同様。 期間別のvolatilityの形状を見るとSPXは期間長い=>volatility高いという傾向が明確にあるが、NDX、RUTではあまり明確ではない。DJXは2023年満期では横ばいで2024年分が若干高くなっている傾向。 つぎにSPXと先進国株式(MXEA)、新興国(MXEF)、そしてS&P500ETF(SPY)を比較した。 MXEF、SPYは目先数か月についてはS...

レンジ相場でレバレッジファンドが減価する理由

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 (疑問) レンジ相場でレバレッジファンドが減価するのはなぜか (調査方法) 具体的なシナリオでシミュレーション 当初株価100で90から110の間を変動し最後も100になる株式を想定 -1から2までの異なるレバレッジでの基準価格を計算 (調査結果) シミュレーション結果は下記の通り 株価が行ったり来たりしてもとに戻る場合一番成績がいいのはレバレッジ0.5倍。 レバレッジ-1倍と2倍は株価が元に戻ったが基準価格は0期比でマイナス。 この理由は、株価変動に対応したポジションの調整数量を計算した右端のbuy/sellで示される。 レバレッジ0.5倍の時株価が下がると買い、上がると売りという行動をとる。 レバレッジ-1倍と2倍の時は逆に、下がったら売り、上がったら買いという順張りの行動をとることになる。 つまり株価が上がる直前にポジションを減らし、下がる直前にポジションを増やしている その結果レンジ相場では成績が悪化する。 より広く考えれば、全体株価が下がる(上がる)とレバレッジファンドの売買が下げ(上げ)に拍車をかける

レバレッジがなぜ危険か?~投資対象の値動きとレバレッジの関係について

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 (疑問) レバレッジをかけた取引が危険といわれるがなぜか。 自己資金以上の損が発生するから とかいうが改めて考えてみた (調査方法) 仮想資産について価格変動を想定。 当該仮想資産について当初のレバレッジが価格変動後にどうなっているかを調べた。 具体的にはレバレッジマイナス1からプラス2の範囲で投資した結果をシミュレーションした。 (調査結果) シミュレーション結果は下表のとおり。 上記以外のレバレッジについてもシミュレーションした結果をチャートにまとめた。 縦軸が価格変動後のレバレッジ、横軸が価格変動、それぞれの線が当初のレバレッジの水準を示す。 シミュレーションから読み取れることは以下の通り 当初レバレッジ=1(フルインベストメント)または当初レバレッジ0(投資しない)場合: 価格がどう変わってもレバレッジは1または0で一定 当初レバレッジ0超、1未満の場合(=自己資金内での投資): 価格上昇時は上限1までの範囲でレバレッジ上昇。 価格下落時は0以上の範囲でレバレッジ低下。 価格上昇後に売るとレバレッジ低下。 価格下落後に買うとレバレッジ上昇。 当初レバレッジ1超(自己資金以上のロング)の場合: 価格上昇時はレバレッジ低下(ただしどんなに下がっても1以下にはならない)。 価格下落時はレバレッジ上昇。上限無限大。 当初レバレッジを維持するには =>価格上昇時には追加的な買い(ロングを増やす) =>価格下落時には追加的な売り(ロングを減らす) が必要=>直感に反する。 当初レバレッジ0未満(ショート)の場合: 価格上昇時はレバレッジが減少(マイナス方向にレバレッジ上昇=リスクは増大、マイナス無限大まで)。 価格下落時はレバレッジが増加(マイナスの範囲でレバレッジ減少=リスクは低下、ただし0以上にはならない)。 当初レバレッジを維持するには =>価格上昇時には追加的な買い(ショートを減らす) =>価格下落時には追加的な売り(ショートを増やす) が必要=>こちらも直感に反する。 レバレッジ0未満または1以上で運用を行っている場合、想定と逆に価格が動くと予想外に早くレバレッジの絶対値が高まる(リスクが急上昇する)可能性があるので注意。 自己資金の範囲で運用を行う場合にはどう価格が動いてもレバレッジは0から1に収まり、リスク無限...
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 疑問 上場企業について、ROEとかPERとか時価総額の平均はしばしば見かけるが定性的な情報の平均はあまり見かけない。 例えば有価証券報告書に「事業の内容」という記載項目があるが上場企業全体の平均をとるとどんな内容になるだろうか。 調査方法 Edinet において2022年1月1日から2022年10月27日に提出された国内の企業(投資信託除く)の有価証券報告書を取得する。 有価証券報告書のうちの「事業の内容」の文章を取り出す。 取り出した文章ひとつづつについて Juman を使って形態素解析(単語や品詞ごとに分割)する。 全ての企業の「事業の内容」を解析した結果から、個々の「事業の内容」についてベクトルを作成する(PythonのScikit-learnを使用) 全ての企業の「事業の内容」ベクトルの平均から個々のベクトルとのコサイン類似度を計算し最も平均に近い「事業の内容」を探す。 なお、形態素解析にあたっては画像は無視したほか、数字と、改行やタブなどの特殊文字列は除外し、長すぎる文章についても解析できないため5000文字以上になる部分はベクトル作成対象外とした。 また、ベクトル作成の際には解析後に1文字になる単語は無視したほか、inverse document frequency(≒単語のレア度)は考慮しないこととした。 調査結果 2022年1月1日から2022年10月27日の間に提出された国内企業の有価証券報告書は3904件。 全ての有価証券報告書の「事業の内容」を閲覧したところ 文字数に関しては 中央値は938文字 平均値は1,669文字 最少が 株式会社BASE沖縄野球球団 の36文字 最長が 株式会社レナサイエンス の36,891文字 上場企業での最少は 大伸化学株式会社 の58文字 平均文字列ベクトルとのコサイン類似度(0~1、1に近いほど平均文字列に近い)に関しては 中央値は0.65 平均値は0.64 最小が 日本観光ゴルフ株式会社 の0.17 最大が 石油資源開発株式会社 の0.87 上場企業での最小は 株式会社東芝 の0.20 コサイン類似度で見た場合、もっとも平均的な有価証券報告書の「事業の内容」は石油資源開発株式会社という結果になった。 具体的には 下記のような内容 有価証券報告書の「事業の内容」作成時には石油資源開発を参考にしてはいかが...